イヤホンいろいろ試聴メモ [オーディオ]
某カメラ量販店で、高級イヤホンをまとめて試聴したので印象をメモ。
買って聴いたレビューではなく短時間の試聴につき、的外れな感想があるかもしれない。
一応参考までに試聴条件を書いておくと、リファレンスはノーマルのSE535、DAPはCOWON J3、音源はFLAC形式のフュージョンが中心。
好みの再生音もついでにメモしておこう。音域はフラットで解像度の高いものが好きだが、高音が鋭く刺さってくるようなのは苦手。低音はベースやバスドラの締まりがあるのが必須条件。音の傾向は全くのクール（無味無臭、響き極小）よりも、ややウォームな味付け（倍音成分やバランスの良い響きがあって音に艶を感じる）がいい。
前置きが長くなったが本題。
SE535LTD-J
ノーマルのSE535とじっくり比較。各種レビューを読んで音質的に向上しているのかと思っていたが、「オーディオ的な音質」の優位性はほとんど感じられなかった。ノーマルのユーザーとしては一安心。
味付けの違いは確かにあるが、もともとレベルの高い世界で「どっちが好みか」という選択肢が提供されたという理解の方が良さそう。
LTDの方がより自然な音で、音域バランスは確かに高音域がより伸びるように聴こえる。おまけに音場が少し広い。ただしキレのある低音やドラムのアタック音はノーマルより少しおとなしく感じる。これは判断の難しいところで、イヤーチップが手持ちのノーマルと違う組み合わせだった影響かもしれないし、試聴したLTDのエージングが手持ちのノーマルほど進んでいない可能性もありうる。
音域バランスは、再生機のイコライザーを調整すればノーマルSE535でも再現できそうな程度の違いだと思うが、音場の広さは僅かながらLTDに分がありそう。なんだかんだ言っても、ノーマルよりもLTDの方が全体的に優等生な感じ。
ただ、愛用中のノーマルは低音のキレや迫力があり、音楽的にはこっちの方がメリハリが感じられて熱いのは私好みだ。
もし試聴したLTDのエージングが不十分で、今後さらに艶が乗ってくるようなことがあるのならば、LTDもぜひ持っておきたい。（と気軽に言える値段ではないんだけど……）
MDR-EX1000
何度聴いても素晴らしい。SE535がバランスド・アーマチュア型の分解能を生かしつつダイナミック型のような迫力ある低音を補強したのとはちょうど逆に、これはダイナミック型のワイドレンジな再生能力や音場の広さといった特長を残しつつ、解像度を劇的に高めてBA型と同じくらい微細なニュアンスを獲得した製品といえる。
籠もりが少ない明瞭な音が、高域から低域まであっさりとバランス良く出てきて心地良い。特に高音は鮮度が非常に高いが刺激的とまではいかず、良質なモニター系のオーバーイヤー型ヘッドホンのような音が聴ける。音質だけで言えばこちらの方が好みかも。
ただしやはり装着には少し弱点があり、耳から出っ張ることや遮音性がもう一つなのがとても惜しい。ひょっとすると音場の広さとトレードオフの関係になるのかもしれないが、本当にここだけは惜しい。
IE80
これも安心して音楽に浸れるモニター系のイヤホン。「安心」というのは、変な癖が乗る心配もなく、ハイハットの高い金属音や速弾きのベースの低い音なども破綻することなく、もちろんボーカルなどの中域も期待通りに再生してくれるということ。「素直」とか「きちんと」とかいう言葉もよく似合う、とても良い製品。
試聴機ではSE535より少し低音が緩めで量が多いバランスだったが、調整ダイヤルでどこまで変化するかまでは確認できず。もし低音を絞っても同様の傾向なら「低音がやや豊かなモニターイヤホン」ということになるがどうなんだろう。
XBA-4SL
ソニー自社開発のBAドライバ4基搭載モデル。
一言でいうと、BA型らしい優等生。解像度が高く密度の詰まった音が、複数ドライバのおかげで高域から低域まで広い音域でバランスよく出てくる。下位の機種より良い音にきちんとまとまっている。
しかしながら、BA型の特長である繊細な表現の枠の中にとどまっているように思えた。
SE535で感じるような「（BAなのに）ダイナミック型みたいな迫力も出せる」までの力は獲得していない。
ソニーのBA型としては現時点で最高峰だが、繊細さと力強さの両方を高いレベルで実現したMDR-1000EXと肩を並べるものではなかった。（価格帯の違いという点で納得）
ATH-CK100PRO
これは評価が難しい。オーディオテクニカの中ではモニターに近い分類かもしれないが、実際の音のバランスにはしっかりとした味付けが感じられた。
音質が良いかどうかという基準とは別に、音づくりの傾向が好みにハマるかどうかという観点がこの機種の場合は重要になりそう。
質だけでいうと、解像感は高い。高音は少し鋭く感じることもあるが許容範囲（長く聴くときは辛くなるかも）。低音の締まりは普通で、SE535ほどではない。ただし音場はSE535より広い。密閉度は劣るのでその違いによるものかもしれない。
しかし、めったに買えるもんではない高級イヤホンをこうして自由に試聴させてくれる店が近くにあるというのは本当にありがたい。最近はウェットティッシュも備えてくれていることも多く至れり尽くせりだ。
ただ、壊れているイヤホン・ヘッドホンが散見されるのはとても悲しい。このページを読む方には関係ないかもしれないが、試聴機は本当に丁寧に扱ってほしいものです。
いずれはK3003とFitEar TO GO! 334も聴いてみたいなあ。
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イヤホンいろいろ試聴メモ（その2）
買って聴いたレビューではなく短時間の試聴につき、的外れな感想があるかもしれない。
一応参考までに試聴条件を書いておくと、リファレンスはノーマルのSE535、DAPはCOWON J3、音源はFLAC形式のフュージョンが中心。
好みの再生音もついでにメモしておこう。音域はフラットで解像度の高いものが好きだが、高音が鋭く刺さってくるようなのは苦手。低音はベースやバスドラの締まりがあるのが必須条件。音の傾向は全くのクール（無味無臭、響き極小）よりも、ややウォームな味付け（倍音成分やバランスの良い響きがあって音に艶を感じる）がいい。
前置きが長くなったが本題。
SE535LTD-J
ノーマルのSE535とじっくり比較。各種レビューを読んで音質的に向上しているのかと思っていたが、「オーディオ的な音質」の優位性はほとんど感じられなかった。ノーマルのユーザーとしては一安心。
味付けの違いは確かにあるが、もともとレベルの高い世界で「どっちが好みか」という選択肢が提供されたという理解の方が良さそう。
LTDの方がより自然な音で、音域バランスは確かに高音域がより伸びるように聴こえる。おまけに音場が少し広い。ただしキレのある低音やドラムのアタック音はノーマルより少しおとなしく感じる。これは判断の難しいところで、イヤーチップが手持ちのノーマルと違う組み合わせだった影響かもしれないし、試聴したLTDのエージングが手持ちのノーマルほど進んでいない可能性もありうる。
音域バランスは、再生機のイコライザーを調整すればノーマルSE535でも再現できそうな程度の違いだと思うが、音場の広さは僅かながらLTDに分がありそう。なんだかんだ言っても、ノーマルよりもLTDの方が全体的に優等生な感じ。
ただ、愛用中のノーマルは低音のキレや迫力があり、音楽的にはこっちの方がメリハリが感じられて熱いのは私好みだ。
もし試聴したLTDのエージングが不十分で、今後さらに艶が乗ってくるようなことがあるのならば、LTDもぜひ持っておきたい。（と気軽に言える値段ではないんだけど……）
MDR-EX1000
何度聴いても素晴らしい。SE535がバランスド・アーマチュア型の分解能を生かしつつダイナミック型のような迫力ある低音を補強したのとはちょうど逆に、これはダイナミック型のワイドレンジな再生能力や音場の広さといった特長を残しつつ、解像度を劇的に高めてBA型と同じくらい微細なニュアンスを獲得した製品といえる。
籠もりが少ない明瞭な音が、高域から低域まであっさりとバランス良く出てきて心地良い。特に高音は鮮度が非常に高いが刺激的とまではいかず、良質なモニター系のオーバーイヤー型ヘッドホンのような音が聴ける。音質だけで言えばこちらの方が好みかも。
ただしやはり装着には少し弱点があり、耳から出っ張ることや遮音性がもう一つなのがとても惜しい。ひょっとすると音場の広さとトレードオフの関係になるのかもしれないが、本当にここだけは惜しい。
IE80
これも安心して音楽に浸れるモニター系のイヤホン。「安心」というのは、変な癖が乗る心配もなく、ハイハットの高い金属音や速弾きのベースの低い音なども破綻することなく、もちろんボーカルなどの中域も期待通りに再生してくれるということ。「素直」とか「きちんと」とかいう言葉もよく似合う、とても良い製品。
試聴機ではSE535より少し低音が緩めで量が多いバランスだったが、調整ダイヤルでどこまで変化するかまでは確認できず。もし低音を絞っても同様の傾向なら「低音がやや豊かなモニターイヤホン」ということになるがどうなんだろう。
XBA-4SL
ソニー自社開発のBAドライバ4基搭載モデル。
一言でいうと、BA型らしい優等生。解像度が高く密度の詰まった音が、複数ドライバのおかげで高域から低域まで広い音域でバランスよく出てくる。下位の機種より良い音にきちんとまとまっている。
しかしながら、BA型の特長である繊細な表現の枠の中にとどまっているように思えた。
SE535で感じるような「（BAなのに）ダイナミック型みたいな迫力も出せる」までの力は獲得していない。
ソニーのBA型としては現時点で最高峰だが、繊細さと力強さの両方を高いレベルで実現したMDR-1000EXと肩を並べるものではなかった。（価格帯の違いという点で納得）
ATH-CK100PRO
これは評価が難しい。オーディオテクニカの中ではモニターに近い分類かもしれないが、実際の音のバランスにはしっかりとした味付けが感じられた。
音質が良いかどうかという基準とは別に、音づくりの傾向が好みにハマるかどうかという観点がこの機種の場合は重要になりそう。
質だけでいうと、解像感は高い。高音は少し鋭く感じることもあるが許容範囲（長く聴くときは辛くなるかも）。低音の締まりは普通で、SE535ほどではない。ただし音場はSE535より広い。密閉度は劣るのでその違いによるものかもしれない。
しかし、めったに買えるもんではない高級イヤホンをこうして自由に試聴させてくれる店が近くにあるというのは本当にありがたい。最近はウェットティッシュも備えてくれていることも多く至れり尽くせりだ。
ただ、壊れているイヤホン・ヘッドホンが散見されるのはとても悲しい。このページを読む方には関係ないかもしれないが、試聴機は本当に丁寧に扱ってほしいものです。
いずれはK3003とFitEar TO GO! 334も聴いてみたいなあ。
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イヤホンいろいろ試聴メモ（その2）
2012-04-28 21:40
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