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KEF Mu3のレビュー(続き) [オーディオ]

ANW01の感想で KEF Mu3 との比較を書いた割には、Mu3はファーストインプレッションしか書いてなかったことに気付いた。

なのでMu3のその後について。

2021-08-23 22.56.18.JPG

Mu3、国内ではほぼKEF公式の通販以外に販路がなく、試聴機も直営店にしかない模様。
未だに本気で売る気があるのかどうか判然としないが、製品としてどうかというと、特に音質において名機の1つであることは間違いない。


【音質】
 まずバーンインについて。初期の音出しでは「そつなくまとめた綺麗なサウンドだな」程度に思っていたのが、20時間くらいからどんどん音が良くなってきて、50時間くらい経ったところでは驚くほどの音質に化けた。

切れ味の鋭い高速・高分解能な音が出るようになり、キックドラムなどパンチのある低音も有線イヤホンのように余裕で再生。トランジェント特性の高さを強く感じさせる。

また、音量を絞っているときは全体に優等生的な音だが、少し音量を上げると躍動感が出てきて音が弾むような元気さが出てくるのが特徴。キレが良くてフュージョンが楽しい。締まった低域が心地良い。

低域は締まりがあるだけでなく、かなり低いところまできちんと鳴る。パイプオルガンのC1(32Hz)も痩せずに再生できる。
中域~高域はクリアで明るい音。曲間や無音時のホワイトノイズはほぼゼロでS/N比が高い。

全体のバランスとして、低域から高域まできちんと分離して全ての帯域が明瞭に聴き分けできる、ハイエンドらしさを感じる音になっている。


【機能】
・ANC
 Mu3のアクティブノイズキャンセリングは弱いと言われるが、しっかりと効果は感じられる。
ただし圧倒的な静けさをもたらすものではなく、低周波ノイズを重点的に消すようにチューニングされているようだ。
屋内だと、エアコンや冷蔵庫のコンプレッサー音などがスーッと消える。
屋外では、バスや電車内のゴーッという音はかなり減って音楽に没入しやすくなる。
ただ中域・高域の環境音は多少残っている。

その代わり、音楽の音質に対してはANCをオンにしてもほとんど変化がなく、高音質のまま楽しめる。これはおそらく音質最重視で音楽成分が削られないようにチューニングをしたためと思われる。
この製品についてはANCは常時オンで大丈夫とおすすめできる。

外音取り込み(アンビエント)モードは微妙。環境音をよく拾ってくれるが、外部マイクの音質はそれほどでもないため、そちらが気になって音楽への意識が薄れてしまう。
これなら外音取り込み中は音楽再生を停止してしまってもいいのでは、とちょっと思った。

・接続性
 普通~やや良い。混雑する駅のホームなどを除けば音飛びをすることはない。
コーデックはSBCとAACのみ。

・操作性
 物理ボタンはMu3購入のきっかけになった仕様の1つだが、とても使い勝手がいい。
ボタン中央が凹になっているデザインで押しやすく、また押し込み量は浅くて押し感もソフトだがクリック感はきちんとある、という絶妙な加減になっている。
なので耳穴に押し込むような感覚は最小限で済む。誤操作の心配がないのでありがたい。

再生時の操作体系は、
 ・右側クリックで再生/停止
 ・右側ダブルクリックで曲送り
 ・右側長押しで音量アップ、左側長押しで音量ダウン
 ・左側クリックでANCオン/アンビエント/ANCオフの切り替え
曲戻しがないのは残念。

この製品の最大の弱みは、コントロールアプリがないこと。発売から半年たった2021年8月時点でもリリースされていない。
そのため、ボタン機能の割り当て変更、EQ、ANCの強度調整、ファームウェアアップデートなどのカスタマイズは一切できない。
それが致命的かというと、全体の完成度が非常に高いため、どうしてもカスタムしたいという気持ちはなく、実際にはあまり困っていない。
ただ「カスタマイズは何もできない」というのは割と大きな制約なので、今後アプリが出てくれたらいいなという思いはある。

・デザイン
 この製品の魅力の1つといってよいと思う。ケースは比較的小ぶりで、本体デザインと統一感のある曲面主体の形が美しい。
塗装表面のクリアコート層が厚いため高級感もあり、乱暴に扱わなければキズも付きにくい。
バッテリーは本体9時間、ケースで15時間の計24時間分で、大きさの割には容量があるので、バッテリーの心配はまったくしなくて済むのは良いところ。


【装着性】
 補足として、この製品の装着には少しコツが必要なので注意。
ノズルを耳に挿しただけだと隙間が開いてしまい、スカスカな音になってしまう。
そこから本体を回転させて耳介(耳甲介)にすっぽり収めると密着度が増し、本来の聴こえ方になる。
「耳に入れて少し回し、すっぽりはめる」を意識する必要がある。


【所感】
 といったところで、KEF Mu3は国内レビューが極端に少ない製品ですが良いTWSです。
上記のような弱点もありながら、音質面では絶大なアドバンテージがあります。(バーンインをしっかりした後に)
多機能よりも音質重視、デザイン的な満足感、物理ボタンの魅力。そんなところに惹かれる方にはお勧めの製品と思います。


【おまけ】 ※このキャンペーンは既に終了


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