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難しい、AK120のレビュー [オーディオ]

AK120.JPG

AK120を導入、使い始めて1ヶ月近く経った。

そろそろレビューしようと思ったのだが、これがどうにも難しい(理由は後述)。
これを読む人のお役に立つかどうかは怪しいが、まあいつもの自分用メモとして書き留めておきます。

AK120を自分なりに一言で表すなら、「最高のモニタープレーヤー」。
これは事前に知っていたAK120に関する情報やレビューをいったん忘れ、自分の耳でこれまで聴いてきたいろいろな経験に頼ってみても、なお自然に湧き上がってくる本音だ。

開発関係者の言うとおり、現場でミックスされたありのままの音を、ほぼ忠実に再現しているのではないかと思う。
S/N比が高く、小さな音や楽器のディテイルをしっかり拾い上げてくる。
ダイナミックレンジも広く、特定の音域を強調する印象もない。
組み合わせるイヤホンの特徴だけがダイレクトに感じられるので、イヤホンを評価するための基準機として使えるのではないか。そう思えるくらいに中庸・モニター的で高精細な出音だ。
(逆に言うと、外付けアンプやイヤホン・ヘッドホンの組み合わせで、自分好みの味付けが自在にできる上級機という言い方もできる)

ポータブル再生では私はポケットに入る携帯性を重視しているのでイヤホン直挿し派だが、もちろんWalkmanやiPodのアナログ出力とは次元が違う。HDP-R10やHM-901と試聴した限りでは音質面では同レベルに感じるし、味付けを一切排したことでAK120はより鮮度が高いように聴こえる。(おそらく、出力段の3Ω抵抗をバイパスすると鮮度がさらに増す)

今はSE535LTDを使っているが、ようやくこのイヤホンの実力を100%引き出せたように思う。
ただAK120との組み合わせだと、低域部の力強さが本来あるべき姿にもう一息だけ足りない。これはSE535LTD側の特性のように感じる。低域がタイトなまま、もっと底力のあるイヤホンが欲しくなる。(パルテールやMH335DWの低域は良かった…)

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というように、確かにAK120は良いのだけれども、この機種の場合、AK100も持っていてきちんと比較できる人でないと、レビューとして不十分になっちゃうんじゃないかと思う。

AK100のファームウェアの進化は素晴らしく、現時点で機能面の目立つ差はDSD再生の有無くらいまで縮まっている(そのDSD再生もPCM変換なので、あまり決定的な差ではないと思う)。
音質面は、両方聴きこめばAK120が一枚上手ということのようだが、ちょっと試聴した限りではAK100の最新状態(V2.01)もかなりいい音が出ていた。
昨年出たての頃に初めて試聴したときは、正直、音の芯が細くて微妙だと思う部分もあったが、現在はよほど音質にこだわる人でなければAK100でも十分と言えるくらい、AK120との音質差は縮まっているという印象だった。

しかもAK120に乗り換える人のおかげで、発売から1年も経っていないAK100が中古市場では4万を切り、AK120の3分の1の価格で手に入る。改造してメーカー保証を手放す覚悟があれば、出力段の22Ωをバイパスさせる等の改造でさらに音質向上を図ってくれる業者もある。

皮肉なことに、ヒットしたAK100の機能・性能向上を地道に追求してくれたメーカー対応や、AK100に惚れ込んだユーザーたちの探究心のおかげで、AK120の優位性は相対的に小さくなってしまった。
なので、AK120を考えている人は、最新のAK100や改造版AK100と比較する必要があるのだ。

残念ながら私はAK100は持っていないので、ちゃんとした比較ができない。
ただAK120単体で大満足できたし、こちらの方が悪いということはあり得ないので、DAPについてはもう余計な心配はいらないという精神衛生的な安心感はある。

次の進化はDACチップを変えてDSDネイティブ再生あたりではないかと思うが、しばらくはAK120と一緒に過ごしていこうと思う。

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2013/09/29 追記
9月14日より、出力インピーダンスを22Ωから3Ωに変更したAK100MKIIが日本限定で発売されています。
付属品が追加されて定価もかなり上がったので後継機種というより派生機種という方がしっくりくる内容ですが、AK120との違いはDACの数と本体サイズ、ボリュームガードの有無くらいまで縮まってきました。
シリーズ全体の価格バランスについては機を見て調整した方がいいように感じます。

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2013/08/05 22:19訂正
当初の内容を読まれたAK100ユーザーの方より「Boost機能はボリュームを+3dBするだけで音質的な差は出ない」とのご指摘をいただきました。混乱を避けるため、Boost機能に関する記載部はカットしました。
勉強不足で申し訳ありません。どうもありがとうございました。
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もみじマークの初心者

こんにちは。

 1970年代4chにハマっていた往年のオーディオマニアです。
その後空白期間を経てCD黎明期にまたCDとLDにハマりましたがすぐ飽きてしまい、住宅事情もあって今はまったく無縁です。

 最近、マスコミでちらほらハイレゾなるものを見かけるようになり、
「CD以来のオーディオ革命!」との触れ込みに、新し物好きの好奇心がむずむずし始めました。

 そこで、いろいろネットで情報収集するうち、どうやらAK120(さらにAK200という上位機種が発売されるようですが・・・。)という機種がハイレゾDAPとしてハイエンドの機種らしいと分かりました。
思い切って買ってみようかと思案しているところですが、どういうものなのかイマイチよくわかりません。
そこでこのブログを拝見した次第です。

 ブログではあかしょーさんは大変お詳しく、またこの製品を気に入って使いこなされているようなので、率直なアドバイスを賜れば幸いとコメントさせていただく次第です。

 何しろ現在ふた昔前のソニーの香水瓶型ウォークマンを使いこなすのがやっとで、ネットオーディオという言葉にもついていけない初心者ので、ご教授頂ければ幸いです。

 初歩的な質問で恐縮ですが、このAK120にヘッドフォン(この機種に合わせたヘッドフォンも発売されているようですが、ご感想はどうでしょう?)を差すだけで、ウォークマンのように手軽にかつ究極の音質を楽しめると考えてよいのでしょうか?
(おそらく聴くのはクラシックオンリーです。)

 ハイレゾ音源というものをパソコンから取り込むことが必要のようですが、普通のデスクトップパソコンにインターネット(まだADSLですが・・・)をつなぎさえすれば可能なことですか?

 また、通勤途中に電車内で楽しむことは可能ですか?
(音漏れやワイシャツのポケットに入るサイズかどうか心配です。)

 猫に小判という諺があるように、果たして私のような初心者にこんな先端の道具が使いこなせるのか、宝の持ち腐れになってもつまらないしと思ったりしています。

 使いこなすのにそんなに手間はかからないということなら、ぜひ使ってみたいと思います。アドバイス頂ければ有難いです。

最後にもう一点。
上位機種AK200が発売されるようですが、あかしょーさんがもしこれから買われるなら、AK120とAK200どちらを買われますか?

 お忙しいところ長々と恐縮です。
お暇な折にでもご教授頂ければ幸いです。






by もみじマークの初心者 (2014-02-12 13:40) 

akasyou

もみじマークの初心者さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
当方の不手際でお返事遅くなってしまいすみません。まだ読んでいただけるかな…。

さて、ハイレゾ対応の携帯プレイヤーはいろいろ選択肢がありますが、コメント拝見する限りでは、AK120は音質と使い勝手の良さから有力な選択肢と思います。

あるいは1つランクを下げて、AK100MKII(AK100の後継)またはソニーのNW-ZX1も、従来とは比較にならない音質で楽しめる使いやすいハイレゾプレーヤーです。

これらはどれもワイシャツの胸ポケットに収まります。

先日発売されたAK240との比較ですが、標高4000mを超える山の高さを比べるようなもので、音質に特別なこだわりを持つ一部の上級者向けの製品です。
価格に比例した音質向上とは言えませんので「金に糸目をつけずに一番良い物が欲しい」という場合に限り検討すればよいと思います。

良いイヤホン・ヘッドホンは選択肢が豊富でお勧めが難しいです。非常に荒っぽい言い方ですが、量販店に行って3万円以上の価格帯を目安に、AK120との組み合わせで試聴させてもらい、好みに合うものを探すのが間違いないと思います。
通勤用に使われるのであれば、ヘッドホンの開放型・半開放型だけは避けるようにしてください。

操作については、USBケーブルでPCに繋いでファイルをドラッグアンドドロップするだけでコピーできますのでそう難しくはないと思います。
AK120のマニュアルはこちらにあります。
http://www.iriver.jp/support/file_1129.php

ダウンロードするハイレゾ音源については、こちらが詳しいです。
『高級ウォークマンも入手困難!? 大人気のハイレゾ音源を解説!』-ASCII.jp
http://ascii.jp/elem/000/000/851/851474/

どうぞ素晴らしい音楽ライフを。

by akasyou (2014-03-01 13:13) 

あかしょうさま

素晴らしいアドバイスありがとうございます。
知りたいことはすべて解決しました。

「AK240との比較ですが、標高4000mを超える山の高さを比べるようなもので、音質に特別なこだわりを持つ一部の上級者向けの製品です。」 
          ↑
こういうご意見が聴きたかったのです。
最初から頂点を目指すのは挫折の元ですね。
まずはとりあえずCPに優れた機種でハイレゾの世界を体験してみるべきと思い至りました。
まさに先達はあらまほしきものかな。

 ところで、ソニーの製品を候補の一つに挙げて頂きましたね。
最近会社としてはなにかと旗色が悪いソニーですが、それでも
我々の年代にとっては長年親しんだ、贔屓の引き倒しといわれても
なお愛着あるブランドであり、やはり安心感があります。

 AK120・200を製造しているメーカーは韓国のベンチャー企業のようですが、最先端の製品でデザインは垢抜けて性能もハイエンド。
かつてこういうマーケットはソニーが牽引してきたはずなのに・・。
ソニーファンとしては寂しく感じていたもので、NW-ZX1は有力な選択肢になりそうです。

お忙しい中ご親切にいろいろご教示頂き厚く御礼申し上げます。





by あかしょうさま (2014-03-03 11:46) 

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